QC活動≒業務。トヨタの方針転換が与える影響は甚大!?

 おはようございます。今日は午後から当協会主催で『パート労働法改正に上手に対応する方法』と題してセミナーを開催します。講師を勤めさせていただくのですが、何回やっても緊張するものですね・・・精一杯わかりやすく説明させていただきます。

 

 さて、asahi.comより記事を紹介します。

 

−トヨタ、「カイゼン」に残業代 業務と認定、来月から(H20.5.22asahi.com)−

 トヨタ自動車は21日、生産現場の従業員が勤務時間外にグループで取り組む「カイゼン」活動について、残業代を全額支払うことを決めた。月2時間までとする残業代の上限を撤廃する。「自主的な活動」としてきたカイゼン活動を「業務」と認定する。労働組合も了承しており、6月1日から実施する。

 長時間労働による健康被害や過労死が深刻化する一方、「名ばかり管理職」への批判を受け、日本マクドナルドが直営店の店長に対する残業代の支払いを決めたばかり。サービス残業と指摘されたカイゼン活動を残業と認めるトヨタの方針転換で、製造業でも「働き方」と「報い方」のバランスを見直す動きが広がりそうだ。

  トヨタが「業務」と位置づけるのは、生産現場の従業員がグループ単位で改善提案に取り組むQCサークル活動。従業員のアイデアや知恵を引き出す「カイゼン」活動を支える中心的な取り組みで、64年から半世紀近く続いている。国内の生産現場の全従業員約4万人の全員参加が原則で、現場の工夫を収益向上に結びつけるトヨタ躍進の原動力だった。

 現在、トヨタはQC活動を支援する名目で月2時間まで残業代を支給するが、2時間を超える賃金は原則支払っていない。しかし、QCの活動成果が人事評価の対象にされている実態があり、社員やその家族から「事実上強制された業務」との声が上がっていた。

  昨年12月には、愛知県豊田市の堤工場の元従業員の男性(当時30)が急死したのは過労死だったと認める名古屋地裁判決が確定。判決は、QC活動の時間も「使用者の支配下における業務」と指摘していた。この男性は亡くなる直前の4カ月間で16時間をQC活動にあてていたが、実際は土日や有給休暇もつぶして資料作成などでサービス残業をしていたとされる。

 自動車・電機など製造業を中心に国内で3万以上のQCサークルが活動しているとされる。業務なのか自主的な活動なのか線引きが不明確と指摘されていたが、トヨタは明確に業務と位置づける。

 トヨタは、打ち切り上限の撤廃で「総額人件費の増加は避けられない」(幹部)見通し。QCに対する全員参加の意識が薄れ、一部の従業員の負担が増すといったひずみも出ている。そのためトヨタは活動を簡素化し月2時間以内におさめるように従業員に促す方針だが、QCサークルは国内だけで5千前後ある。実際に方針を現場に徹底させ、労働時間短縮につながるかどうか不透明な部分も多い。

 〈カイゼン〉 徹底的に無駄を省くトヨタ生産方式の核をなす考え方。作業時間を縮めたり、工具に改良を加えたり、工場の従業員を含めた全員参加で取り組む。日本の製造業の強さの源泉とされる。QCサークル活動はカイゼンを支える手法で、欧米でも普及が進む。トヨタのQCは、国内の生産現場の全従業員約4万人を8人前後でグループ化し展開する。所定外労働時間で行うのが一般的。QCは、品質管理を意味する英語(Quality Control)の略。 (記事終了)

 

 QCは、品質を維持・改善するために企業が常に取り組まなくてはならない業務の一つといえます。それを社員の自発的な活動という名目で行われていることが多いですが、結局のところ就業時間後に会社内で集まって会社の利益向上のために話し合い工夫を提案し実践する・・・業務と捉えられても仕方ないのかもしれません。

 

 やはり、これまでと同じで大丈夫というわけにもいきません・・・。顧問先も含めて広く情報提供し、単に「QCサークル活動は業務ですから、時間外に行っていれば残業代を払わなくてはなりません。」とアドバイスするのではなく、「QCサークル活動の位置づけ・ありかたを見直し、社員が日頃から業務上での気付きを生む意識改革と、その気付きから生まれる工夫を会社へ提案しやすく、どんな小さな工夫でも積極的に取り上げる仕組みづくりをしましょう。」といった、未来に向けたより良い改善に協力できればと思っています。