ひさしぶりに聞く『偽装請負』の話題。労働者の気持ちはいつまでも晴れない・・・?
ここ最近、立て続けに心の病『うつ病』に関するご相談をいただいています。『うつ病』と診断された方のほとんどは、まじめで一生懸命、責任感も強く仕事も丁寧、会社としては期待をかけている存在の方々でした。
期待に応えたい・・・少し背伸びをする・・・ミスをしてしまった、数字を伸ばせない・・・できない自分を許せない・・・挽回する為に頑張る・・・限界を感じる・・・ストレスから身体に異変が起こる・・・結果、働きたいと思っても身体が言うことを聞いてくれなくなってしまい、病院の診断書を持って休業を申し出てきます。異変が表に現れ、その後休みを申し出る頃には、周りがどんなに頑張れと言っても頑張れない状態で、励ましも逆効果となってしまいます。
個人の性格もこの病気になる要素の一つであるとも考えられますが、企業にとっては病気に至る前の予防を具体的に実施していくことが重要です。そして、実際に『うつ病』による休業者がでてしまった企業としては、早急に『うつ病』予備軍が社内にいないのかを調査する必要がありますし、経営者・幹部・一般従業員が互いに異変に気付ける知識を勉強することが必要になってきます。
西遠労務協会でも、積極的に提案ししているところで、当協会山口が『企業のうつ病対策〜うつ病の起こらない会社作り〜』と題してCDも作成しております。お気軽にお問い合わせくださいませ。
さて、今日は『偽装請負』関連の記事をYOMIURI ONLINよりご紹介します。
−偽装請負発覚「クボタ」の外国人労働者、地位確認求め集団提訴(H20.9.25YOMIURI ONLINE)−
大手機械メーカー「クボタ」(本社・大阪市)で偽装請負が発覚後、期限付きの契約社員となった外国人労働者約10人が、「違法状態で働かされたうえに期限切れで一方的に契約を打ち切られるのは不当」として、来年4月以降の同社従業員としての地位確認を求める集団訴訟を9月中にも大阪地裁に起こすことを決めた。
偽装請負を巡っては、就労先での雇用を求める裁判が各地で起きているが、集団訴訟は極めて珍しい。
外国人労働者らが加入する全日本港湾労働組合大阪支部によると、提訴を予定しているのは、同社の工場「恩加島事業センター」(大阪市)で勤務する日系ブラジル人や中国人ら。
同社は関東の工場が労働局から偽装請負を指摘されたことなどを機に雇用形態を見直し、請負会社の従業員だった労働者らを、2007年4月から2年間の期限付きで直接雇用した。
労働者らは、請負会社に在籍時からクボタ社員による指示・命令が日常的で、偽装請負だったと主張。請負契約は違法で、労働者らにはクボタの従業員としての地位が存在しており、一方的に期限を切った労働条件は無効と訴えている。
クボタ広報室の話「提訴前なのでコメントしかねる」(記事終了)
平成16年3月1日に製造業務への派遣が解禁されて以降、『偽装請負』問題は根深く存在し続けています。法律にそこそこ理解があっても利益優先で考えがちな企業と、法律どおりコンプライアンス厳守を叫ぶ労働者とでは、どうしても相容れない部分が出てきてしまうもの、双方の意見に理解もできます。裁判で争うととても時間もかかり、企業にとっても労働者にとっても損ばかりです。裁判例等にもとづき国が英断を下して欲しいものです。
さて、今回のニュースの焦点は、『請負会社と雇用関係にあったものの、実態は注文主であるクボタ社員から直接指揮命令を受けていたのだから、請負会社の従業員としてクボタで働いていた頃からすでにクボタの社員だった。』と主張しているところではないでしょうか?
まさしく『偽装請負』状態であったのだと思います。クボタは偽装請負発覚後、直接雇用に切り替えるとも報道されました。そのとき直接雇用されたのだと予想されますが、はたして『クボタの社員』であったと言えるのか?裁判となった場合その結論に注目したいと思います。
ここで、今年3月に施行された『労働契約法』の条文をご紹介したいと思います。
労働契約法第6条
『労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。』
と規定されています。 『合意』があって労働契約が成立することを明確に規定していますが、この『偽装請負』状態にあっては、『黙示の意思表示』による合意というものによって労働契約が成立していたかが、結論を導き出す重要なポイントであると考えられます。
さてさて法律にもとづく権利・義務などとは、人の頭が作り出し、また世の中の動きに左右されるもので、きわめて複雑になり、そこに果てはないのか・・・・