国民年金。加入者の8割が減免の対象になる・・・そんな制度設計ってどうなの?

 おはようございます。さっそくですが、今日は年金について静岡新聞から記事を紹介します。

 

−国民年金、1千万人減免申請せず 厚労省推計(H20.11.18静岡新聞より)− 

 自営業者や非正規労働者らが加入する国民年金で、約2000万人の全加入者のうち、所得が一定基準以下のため保険料の減免や猶予の対象となる人が8割の約1590万人に上り、このうち約1020万人が減免などを申請していないことが17日、厚生労働省の推計で分かった。
 減免などを受けるには申請が必要だが、実際の利用者は対象者の3割強、約570万人にとどまる。制度の存在を知らない人も相当数いるとみられるが、申請しないまま保険料を納めないと将来の無年金や低年金につながる恐れがある。厚労省は申請なしで保険料を軽減し、一部を公費で補助する仕組みを検討している。
 もともと国民年金は主な加入者として自営業者や農家を想定。所得把握が難しいことから、保険料は一律(現在は月額1万4410円)に設定された。だが、厚生年金が適用されない臨時雇用やパートの労働者の割合が増え、今や自営業者は全体の2割に満たない。本来は例外である減免などの対象者が大多数を占めるといういびつな状態になっている。
 所得に応じて自動的に保険料が軽減される健康保険などと違い、減免は滞納者にできるだけ保険料を支払ってもらうための措置という考え方のため、社会保険庁は積極的なPRもしていない。(記事終了)

 

 確かに保険料の免除や納付猶予制度はあまりに知られていない。また、年金制度自体が知られなさ過ぎています。

 

 新卒の新入社員に社会保険制度についての説明会を開いた折にも、『年金なんて年をとったらもらうものでしょ。そのときには自分がどうなっているのかも分からないし、年金ってもらえなくなるみたいだから払うだけ無駄じゃないですか?いざとなったら生活保護があるし・・・。』なんて意見を言う方もいました。

 

 払う年金に必要なお金は、そのとき現役でいる人から徴収した保険料でまかなうという、現在の年金の仕組みも理解されていません。例えば、親兄弟で身近に年金をもらっているひとがいれば、その年金のほんの一部ではあるが自分の払っている保険料が充てられている。もし年金がなければ、高齢で働けない親の生活費のすべてを、その子供が働いて得た収入から援助しなくてはならない。結婚はおろか家を持つことなんてとても実現できません。

 

 強制加入であるはずの年金は、あらゆる面で『申請主義』を通しています。制度も仕組みも知らないのに申請なんてできたものではありません。分かりにくい制度を作っておきながら、その制度を教える場や環境は整えてこなかったツケが数年前から顕著に現れています。年金制度については重要な教育課題としてもっと力を入れて欲しいものです。

 

 『どうせ年金はもらえないから入らないし払わない。』偏った情報からそんな判断で終わってしまわないよう、

『年金に入っていないと、保険料を払っていないとどうなるか?入っていなかったり保険料を正しく納めていなかったら、ようやく働けるようになったあなたが事故で障害者になってしまったときに年金が出ませんよ。働けなくなってしまっても生きていかなくてはならないですよね?働けるまでに育ててホッとしている親にまた苦労をかけるのですか?経済的なリスクを少しでも減らしておくには、年金に入っておくのはもちろん保険料も正しく納めないといけません。』

派遣など非正社員の増加や急激に悪化している雇用情勢を考えれば、言ってられないキレイごとかもしれませんが、これからもこういった言葉を発していきたいと思っています。