「社員満足度No.1、未来工業(株)」の提案制度とは

   商工会議所主催の視察研修会で、岐阜の「未来工業」を訪問してきました。

  そして創業者である山田昭男相談役のお話をうかがうことができました。

 

 

  未来工業といえば、

 

  「年間140日以上の休日」

  「残業ゼロ(もちろんサービス残業もナシで、残業をすると罰金)」

   「一日の労働時間はわずか6時間45分」

  「年末年始休暇は連続20日間 (不況で操業停止しているのとは訳が違います)」

  「育児休業3年間」

  「5年に一度、全額会社負担で海外社員旅行」

  「定年70歳、しかも60歳以降も賃金が下がらない」

  「営業ノルマ無し」

 

 という、驚くほど社員に優しい会社。雑誌にもたびたび登場し、国内だけでなく海外からの見学者もとても多い、そんな会社です。

 

 ところが、こんなにすごすぎる労働条件なのに、2008年3月期の営業利益が40億(営業利益率12.6%)とのこと。どこにその秘密があるのだろう、と、とても興味深い訪問でした。

 

 こういう場合考えられるのが、すごい技術がある、つまり商品力がとびぬけているというケース。けれど未来工業で作っているのは、住宅用のスイッチボックスなど、素人目には「なんということはない」品物(あくまで素人目には、ですが)。確かに会社は特許や実用新案、意匠登録を非常にたくさん持っているという事なのですが、それにしても似たような商品がすぐに他社でも作れそうな・・・。この労働条件と利益には、失礼ながらどうも納得がいきません。

 

 じゃあ、他の会社とどこが違うのだろう、そう思って社内を見回すと、そこかしこに大きく書かれているのが、

 

  「常に考える」

 

という言葉。そして機械をはじめいろいろな場所に 「改善提案実施箇所」 のシールが貼られています。そう、未来工業では、社員が自分で考え工夫することがテーマであり、その表れとしての「改善提案制度」が会社の大きな特色になっているのです。

 

 多くの会社で取り入れられている「改善提案制度」。特に製造業にうかがうと、社内に個人別提案数が張り出されているのをよく拝見します。けれどなかなか提案が出ず、機能していない場合も多いのではないでしょうか。ところが未来工業の年間提案数は、昨年は800人で13315件。一人当たりの平均が16.7件だそうです。

 「アイデアを出すだけではダメ、実際自分が改善した報告を出すこと」となっている改善提案制度も多いと思いますが、未来工業では「アイデアを出すだけでよい」のだそうです。だから、みんな思いついたことを気軽に提案できるんですね。

 

 そしてユニークなのはその報奨制度。出された提案は提案委員によって審査されるのですが、どんな提案に対しても「参加賞」として500円が支給されるんです。「社員自身が考え、提案すること」を会社がいかに大切にしているかがわかりますね。

 

  自分達で考える、アイデアを出す、ほめられる、そして実際それが取り入れられて会社が変わる。未来工業の社員達は、その繰り返しで「もっともっと、会社のために頑張りたい」と思うのだと感じました。

 

 

 扱っている商品は「飛びぬけてすごいもの」でなくても、いつも考え、工夫し続ける、それこそが未来工業の商品力、すごさの秘密!それが理解できて、とても充実した企業訪問でした。