地震の影響で会社を休みにした場合、休業手当の支払いは必要なのか?

 今日は朝から、顧問先様より、地震と賃金(休業手当)についてのお問い合わせを何件もいただきました。地震が原因で仕事を休みにした場合、賃金の支払いが必要なのかどうか、です。

 

 休みにしたからといっても、そのまま賃金を支払えば、もちろん問題はありません。けれども、ただでさえ業績が厳しい昨今、「払ってやりたいのはやまやまなのだが・・・」という会社が多い

 

      ・・・そうですよね。

 

 そこで今回は、この「地震と賃金と休業手当」についてです。

 

 

 ケース1: 地震で自社が壊れたため、仕事ができず会社を休みにした場合、休業手当(平均賃金の60%)の支払いは必要?

 

⇒ 不要

 

理由) 労働基準法で、「天災事変など、事業主に責任が無い休業の場合は、休業手当の支払いをしなくてもよい」とされているから。

 

ケース2: 仕入先や納入先が地震の影響で休業になったため、材料が入らない、または品物を納めることができず、やむを得ず自社も休業にした場合、休業手当の支払いが必要? (今日のお問い合わせはほとんどがこのケースでした)

 

⇒ ケースバイケース

 

理由) ケース1の「自社が壊れて仕事ができない」という場合と違い、企業努力や工夫次第で仕事ができる場合があるからです。例えば材料が入らない場合でも、他の材料が使えるかもしれないし、また別の仕事ができるかもしれません。また、品物を納められないからといっても、作り置きをしておけるかもしれないし、他の納入先の開拓が可能な場合もあるでしょう。

 

 「ケースバイケース」などという答えはあまりに素っ気無く、私としても心苦しいのですが、残念ながらやはり一概に「休業手当が必要」とか、「必要ではない」とは言えないのです。

 

 実務的には、それぞれ自社の状況を考えて、「本当に手の打ち様が無い」と判断されるようであれば休業手当の支払いをしなくてもよい、となるでしょう。

 けれども従業員から見て、「何とかなったはずだ、会社の責任逃れだ」と感じられるようですと、賃金を支払わないことでモメることになる可能性があります。

 ですから、たとえ「不可抗力」と判断されての賃金カットであったとしても、ただ「払いません」とだけ通知したり、ましてやいきなり賃金カットをして振込をするなどというのはやめてください。会社がいかに企業努力をしたか、それでも今回はどうしようもなかったんだという事を、しっかり従業員に説明しましょう。

 なぜなら、賃金カットとなると、従業員にとってほんとうに大きな、切実な問題になるからです。

 

 そういう意味では、たとえ休業手当を支払う場合でも、60%であれば40%の減額となり、生活に影響が出ることに違いはありません。ですから、やはり「大変な思いをさせるけれども、何とか協力して欲しい。会社もできるだけの努力をしていく」と心から伝えることはとても重要なのです。

 

 こういう場面で会社が何をするか、どう伝えるか、そこで従業員を大切に考えているかどうかが出てしまう、私はそう思います。そう、それは単に「払うか払わないか」だけの問題ではないのです。

 

 ・・・話の方向性がちょっと変わってしまいましたが・・・。

 

 

≪休日振替の利用≫

 

 休日の振り替えも、安易のおこなうのはマズイです。これについてはなかなか文章で表現しにくい部分も有り、ご説明が必要ですので、お手数ですがお問い合わせをお願いします。(TEL:053−436−1033 西遠労務協会)

 

≪助成金の利用≫

 

 今回の地震の影響による休業ですが、休業の助成金(雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金)を利用して休業することも可能です。ただし、あらかじめ計画変更の申出をしておくことが必要となります。

 

 最後に・・・今回の地震の被災者の皆さまには、心よりお見舞いを申し上げます。

 大変な生活を強いられている皆様のことを考え、日本全体で、それぞれの持ち場でできる限りの努力をしていかなくてはいけない、もちろん自分自身も。あらためてそう実感しています。