「偽装請負」やはり派遣先の責任は重い・・・製造請負で問われる安全配慮義務

 今朝は一段と冷え込んでいます。透き通った青空を見ながら一人幸せを感じました。駐車場から事務所に歩いてくる途中、水たまりが凍っているのを見つけ、なんだか嬉しくなって子供のようにぜーんぶ(4箇所)割ってやりました。

 

 さて、昨年当事務所でも「偽装請負はもう許さない」と題してセミナーを開催しました。その中でも偽装請負だった場合には、注文主=派遣先も安全配慮義務や労災隠しについて責任を負うことについても触れました。

 

 今日紹介する記事のように、偽装請負にからむ痛ましい重大な労災事故は後を絶ちません。労災に発展しないまでも、偽装請負で働く労働者の過酷な労働環境や、安全教育面での扱いの軽さが目立ちます。紹介記事には出てきませんが、裁判の経過について掲載されているサイトを読むと、当時22歳の被災者が検査作業中に踏み台(足場の面40cm四方、高さ90cm)から転落し意識不明の重体となって、意識が戻らないまま98日後に入院先の病院で息を引き取ったということで、ご両親の気持ち察するに余りあります。

 

 たった90cm・・・なんてことない高さではありますが、どんな場所にも危険はあることを改めて教えてくれました。

 

 事件の正社員と請負社員(社外工)との扱いの差について、触れてみたいと思います。正社員が同様の作業をする際の踏み台は何倍もの広さがあり、転落防止柵も設置され踏み台自体固定されていた。請負社員が使っていた踏み台は、転落防止柵も無い持ち運びのできる「脚立」であったようです。また、安全についての教育もほとんど受けていなかったことも問題を大きくさせています。

 

 2/13日経新聞より記事を紹介します。

 

−「請負」で事故死、派遣先にも使用者責任・東京地裁が賠償命令−

 請負会社の指示で働いていた男性が製缶工場で転落死したのは安全対策の不備が原因として、遺族が製缶会社と請負会社に1億9000万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁の山田俊雄裁判長は13日、「製缶会社に実質的な使用従属関係があった」と認め、2社に約5100万円の賠償を命じた。原告側は「偽装請負を認めた画期的な判決」と評価した。 

 派遣社員に対しては派遣先企業も安全管理義務を負うが、請負契約で業務委託した場合、派遣先企業が安全管理責任を負わないケースもある。実態は派遣労働なのに「偽装請負」することが社会問題化しており、就業実態を重視した今回の判決は影響を与えそうだ。

 訴えたのは亡くなった飯窪修平さん(当時22)の両親。賠償命令を受けたのは請負会社「テクノアシスト相模」(神奈川)と「大和製缶」(東京)。両社は製缶工場で検査をする請負契約を締結。大和製缶は「飯窪さんはテクノ社の請負業務に従事しており、工場側は安全配慮義務を負わない」などと主張した。(記事終了)

 

 「安全配慮義務」は、最近ではよく聞く言葉になってきていると思いますが、従業員が職場で1日安全で健康に仕事をし、家に帰って余暇を過ごす。ごく当たり前のことですが、従業員を使用する経営者は常々気に留めておかなければいけないのでしょう。