やはり管理監督者のハードルは高かった・・・マクドナルド店長は管理職に当らない

 昨日は非常に注目される裁判に、判決が下されました。

 

 労働者側にとって見れば非常に意義の大きい画期的な裁判結果ですが、経営者側にとって見れば大きな金銭的な負担を免れない非常厳しい裁判結果です。

 

 よくいただくご相談で「不払い残業代の請求」や「退職時の有休の請求」がありあますが、これらと同様に、後々のことも考えて今どう対応すべきか考えなくてはならない問題です。今回の裁判でも、請求者1人だけに残業代の支払いをすれば済むことではありません。やはり「1人に対してすることは全員に対してしなければならなくなる。」ということを考えれば、どれだけ不利でも会社側が控訴を検討するのも理解はできます。

 

 月間の残業時間は100時間を超え、2ヶ月休みが無かったというようなことも報道されていました。もし、この店長が仕事場で倒れ死に至っていたら・・・今度は「過労死」で会社は訴えられかねません。また、これだけ仕事漬けにされてしまえば、メンタルの面で異常が出ても、やむを得ないかなと考えられます。

 

 仕事上でも「今の若者はなんてか弱いんだ。我々の時代は、文句も言えず、今よりももっと働かされたものだ。」と聞くことも多いのですが、コンビニや自動販売機がどこに行ってもあり、また、友達と会話するのもインターネットやメールで話す世の中、やはり時代が違います。その時々に合った考え方や対応をしなければなりませんね。

 

 参考までに、裁判記事を朝日新聞から記事を抜粋して掲載しておきます。

 

 

 マックの店長は「管理監督者」にあたらず 残業代認める (2008年01月28日11時42分)

 

 日本マクドナルドの埼玉県内の直営店の店長、高野広志さん(46)が、店長を「管理監督者」(管理職)とみなして残業代を払わないのは違法だとして、未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。斎藤巌裁判官は原告の主張を認め、同社に過去2年分の残業代など約750万円の支払いを命じた。

 

 飲食・小売業界では、直営店長を管理監督者とみなすことで、人件費を抑えながら異常な長時間労働を強いてきた企業も多く、今回の判決を契機に労務管理の見直しを迫られる可能性もある。

 

 裁判では、原告のような店長が、労働基準法で残業代や休日手当の支払いを免除される管理監督者かどうかが争われた。

 

 判決は、管理監督者には重要な職務と権限があり、賃金などの待遇も一般の労働者より優遇されていることが必要だとした。そのうえで、店長は社員の採用ができないこと、営業時間やメニュー、商品価格の設定も自由に行えないことなどから、そうした権限はないと認定。待遇面でも、評価によっては部下が店長の平均年収を上回ることなどから「不十分」とし、「管理監督者に当たらない」と結論づけた。

 

 同社は全国で約1700人の直営店長を抱えており、「控訴する方向で考える」と発表した。 (記事終了)