『うつ病で解雇』は無効。時間外労働90時間以上も注意が必要です。
労働保険の決算業務も終わり、ようやく落ち着きを取り戻してきました。長らくぴかっと情報を更新できず、モヤモヤとした気持ちでいました。本日より再開したいと思います。
さて、asahi.comより『解雇』に関連した記事を紹介します。
−「うつ病で解雇」は無効 東芝に賃金支払い命令 東京地裁 (2008年04月22日)−
代理人の川人博弁護士は「業務が原因で精神疾患にかかった従業員の解雇が、判決で無効だと認められたケースは初めて。過労でうつ病を発症する人は多いが、裁判で戦い続けることが難しい現状もある。経営者に警告を発する画期的な判決だ」と話す。
重光さんは、埼玉県にある工場内の液晶生産ラインの技術者だった。01年10月にうつ病の診断書を東芝に提出して休職。04年9月に休職期間が満了したとして解雇されたという。
判決は、重光さんがうつ病になった01年4月までの時間外労働は月平均90時間に上ったと指摘して、うつ病と業務との因果関係を認めた。さらに会社側が重光さんの業務を増やしたことが症状を悪化させたとし、「心身の健康を損なわないような配慮をしなかった」と述べた。
判決について東芝広報室は「会社の主張が認められなかったことは大変遺憾で、直ちに控訴の手続きをとった」とするコメントを発表した。(記事終了)
時間外労働80時間以上を『過労死ライン』と呼ばれているように、確かに月平均90時間以上の時間外労働は多いということは否定できません。また、うつ病またはうつ状態になってしまうかは、個人の性格や考え方・こだわりの違いもおおいに影響しますから、長時間労働が必ずしもうつ病につながるということでもありません。
この判決により、あらためて長時間労働はうつ病の発症原因の一つになり、仕事が原因でうつ病になった場合、その病気を理由に解雇は無効。また、会社は『安全配慮義務違反』を問われることになるということです。
記事には出てきませんが、たぶんこの企業でも休職規程等が整備されており、それを適用して休職期間を設けた上で解雇または休職期間満了による退職ということになったのだと思います。特にうつ病対応はとてもデリケートな問題です。気をつけなければならないのは、会社の規程通りに対応したらそれで良いということではないということです。やはり、本人のみではなく家族を巻き込み、100%は無理としてもある程度納得が得られるまで、専門家も交えて誠実に対応する必要がありますね。