うつ病〜過労自殺。労災認定と損害賠償の違い

  こんばんは。さっそくですが、うつ病〜過労自殺の記事をasahi.comより紹介します。

 

−過労自殺、小児科医遺族の控訴棄却 損害賠償訴訟(H20.10.22asahi.com)−

 過労で自殺し、労災と認められた小児科医中原利郎さん(当時44)の遺族が、勤務先の立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)に1億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(鈴木健太裁判長)は22日、遺族側の控訴を棄却した。

 判決は、中原さんが99年8月に自殺する前の同年3〜4月ごろに月8回の当直を担当するなど過重な業務だったほか、常勤医の減少の問題を抱えたことなどから、うつ病を発症し、症状を悪化させたと認定。死亡と業務との因果関係を認めた。

 一方で人手不足の問題がまもなく解決したことや、無断欠勤もなく勤務をこなしていたことなどから、「精神障害を起こしたり、異変を来したりしていることを病院は認識できなかった」と判断。病院が、中原さんの健康状態に対する配慮などの注意義務を怠ったとはいえないと結論づけた。

 中原さんの労災認定を求めた別の訴訟では、業務とうつ病との因果関係を認める07年3月の東京地裁判決が確定している。 (記事終了)

 

 遺族にとっては無念な結果であるかも知れないが、裁判長が控訴棄却を決断させる程度に病院側の対応ができていたのだと評価するべき裁判なのかな?と感じました。

 

 億単位の損害賠償を迫られるようなケースはめったにないことですが、企業にとっていざというときをいかに身近に想定し、自己防衛のために予防策を講じておくことはとても大事なことです。

 

 アレやれコレやれなぜできない?と叱咤激励を通り越したパワハラによる『うつ』、残業休出当たり前・・・気付いたときには疲れきり辞めるか長期離脱を余儀なくされ会社も腫れ物に触るように対応に苦慮する過労うつ、会社が今まで疑問を持たずにやってきた独自の慣習が 、一人の社員の身体の異変で表面化したとき、見渡すと予備軍が他にもいることにわかります。 社員が安全で健康に働き続けられる『安全配慮義務』に対してもっと真剣に取り組みたいものです。

 

 現実、なぜ気付けなかったんだろうとヒアリングすれば、そこには経営者・幹部・社員間のコミュニケーションの薄さがあります。『もっと腹割って言いたいこと言おうよ。』こんなことが気軽に言えない世の中になってしまったようですね。携帯・メール・・・非常に効率的で便利ですが、人の内面は伝わりません。みんないいもの良い意見を持っていますよ!顔つきあわせて話しましょう。時間を惜しまず・・・。