月80時間を超える加重労働とうつ病。会社の業務軽減義務かぁ・・・

 こんばんは、久々の更新です。さっそくですが、今日はうつ病訴訟の記事をmainichi.jpより紹介します。

 

−デンソー労災:「業務軽減義務怠る」と賠償命令 名地裁(H20.10.31mainichi.jpより) −

 出向先での過重労働やパワーハラスメントなどが原因でうつ病を発症したとして、愛知県内に住む男性(44)が、自動車部品製造のデンソー(愛知県刈谷市)と出向先のトヨタ自動車(同県豊田市)を相手取り、約1880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、名古屋地裁で言い渡された。多見谷寿郎裁判長は「業務の軽減や援助する義務を怠った」と因果関係を認め、両社に休業損害や慰謝料など約150万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は85年にデンソーに入社、エンジンの設計業務を担当した。99年8月〜00年8月にトヨタへ出向した際、新型エンジンの開発に就き、担当者から「使い物にならない人はいらない」などと他者の面前で叱責された。男性はうつ病を発症、00年8月から約2カ月休職した。

 弁護側は、男性が発症前に月90時間を超す過重労働やパワハラ発言を受け、企業側に過重労働を伝えていたにもかかわらず何の対策も講じなかった安全配慮義務違反があったと主張。企業側は「原告の労働時間、健康管理は権限の範囲外」(トヨタ)「業務は精神疾患を発症させるほど過重なものではない」(デンソー)などと反論していた。

 判決はトヨタに対し「信義則上、安全配慮義務を負っていた」と判断したほか、過重労働について、男性が発症前に月80時間を超す時間外労働をしていたと認定。「それだけで発症の危険性を高める程度ではない」としながらも、男性の性格面などを総合的に検討し「危険を招く程度には優に達しているというべき」と予見可能性があったとした。パワハラ発言については発症に直接寄与したことは認めなかったが「パワハラと評価されても仕方ない」とした。(記事終了)

 

 長時間労働と脳・心臓疾患との関連性、そして労災認定基準において、2〜6ヶ月平均80時間や1ヶ月100時間を超える時間外・休日労働は健康障害リスクが高く、また80時間超の時間外・休日労働は裁判等において『過労死ライン』とされていることは、よく知られています。

 

 (残業毎日3時間×22日=66時間)と(休日出勤 8時間×2日=16時間)で合計82時間、80時間とは本当に簡単に手が届いてしまいます。

 

 うつ病などの精神障害等の発症原因としても、十分な睡眠時間を確保できないほどの長時間労働や仕事の失敗・過重な責任が挙げられています。

 

 ストレスに弱いとか体が弱いとか、そういった個人差の部分について取り上げても仕方ないことでしょうが、学歴社会・競争社会・格差社会・・・いろいろな社会的ストレスにさらされながら、ちまたにあふれるマニュアル本やノウハウ本に頼ってしまい、ストレスに耐え・考え・打ち破る強さを身に付けられずに来てしまっているのかも知れません。

 

 記事にあるような『使い物にならないような人はいらない』といった個人の人格や尊厳を傷つける言動は、多くの人がズシッと重く感じてしまうことでしょうから、そういった発言はいけません。

 

 会社の維持・発展のため、最小の人数で持てる能力をフルに発揮・活用し最大の利益を得るという理想を追いかけ、とかく一人ひとりに求める仕事の質・量とも増大してしまっています。

 

 顧問先を見ていて、長時間労働が常態化してしまっている企業も、一人に負担がかからないよう最大限の努力をして今があるということはよく分かっています。ただ、うつ病や過労死そして訴訟リスクと縁を切るため、どうにか80時間を超えるような時間外・休日労働がないようにしたいものです。これからも一緒に考え深く関わっていきたいと思います。