賃金制度賃金の支払い方のご提案
1.世間相場もふまえた生活していける金額の設定今、企業の大きな悩みは「人が採れないこと」ではないでしょうか。もしも「入社してみればわかる会社のいいところ」がたくさんあったとしても、募集時点の給料が少なければ、まずそれだけで人が集まりにくくなってしまいます。(入り口で失敗)。同地域の他社でどれだけ支払われているかも知った上で、地域の同業他社に負けない金額を意識すること。それをしなければ、他社の単なる引き立て役になってしまいます。
また、従業員に安定して働いてもらうためには、「その金額で暮らしていけるか」という視点を持つことも必要です。例えば総支給額が25万円でも、手取り額は21万円程度になってしまいます。「その金額で暮らしていけるか」と考えてみたとき、残業代(適度の残業)が生活給として必要となる、それくらいの仕事を与えることも必要かもしれません。 2.わかりやすい階段(昇進昇給の仕組)「今は独身だから何とかやっていけるけど、家庭を持つとなると今の給料じゃムリですよ。それにこのままこの会社にいても、給料上がりそうにないし、先が見えないんです。だって、去年も今年も昇給3,000円だったから、このままだと10年経っても3万しか上がらないじゃないですか。だったら今のうちに他へ変わったほうがいいって考えるのもムリないでしょ?」このような話を、実際、若い従業員さん達からときどきうかがいます。先が見えない状況で何かをするのは、とても意欲が出にくいもの。もしも一生懸命仕事をしても、それがどう報われるのかがわからない、もしくは、やってもやらなくても大差ないという状況の下、それでも努力できるのは一部の人に限られます。そうなると、 ●「他の会社へ行ったら今と同じ給料はもらえない」と思えばその会社にとどまり、 ●「他の会社ならもっと評価してもらえる」という自信があれば転職する。 若くて能力がある従業員ほど、「このままこの会社にいるより・・・」と転職を考えるようになるのです。「いい人材に長く勤めてもらい、うちの会社で力を発揮して欲しい」そう考えるのであれば、やはり安心して働ける、従業員が定着する仕組を作り発表することが必要です。 また、役職者の賃金で重要なのが、役職者になったために賃金が減少するという逆転現象が起きていないかということです。 これは、会社が役職に就いた人に役職手当を支給する代わりに、残業や休出の手当てをなくしてしまうために起こる現象です。中小企業は、役職ポストに就くこと・出世競争に勝つこと自体が1つの目標となる大企業とは違うのです。仕事が増えるにもかかわらず賃金が減ってしまうのであれば、役職者になりたがる人は少ないでしょう。 努力が評価されて役職者になれる。役職者になれば賃金も上がる。あたりまえのことです。 中小企業でも、従業員が役職を目指したくなる、そんな仕組と環境をつくりましょう。 3.合法性(コンプライアンス)数年前から、サービス残業に対して、監督署も厳しい取締りをしています。残業管理をきちんとおこない、賃金の支払い方を工夫して、法律に違反せず会社負担もなるべく少ない健全な賃金支払いの方法を考えましょう。●割増賃金の単価は正しく算出されていますか? 残業単価の計算基礎に入れる手当は正しいですか? 残業単価の計算に使う所定労働時間は正しいですか? ●サービス残業はないですか? 「サービス残業をなくす」という会社の本気が従業員に伝わっていますか? 管理職が見本になっていますか? 「勝手な残業」がおこなわれていませんか? ●実態が管理監督者でない役職者が残業した場合の扱いはどうしていますか? 「管理監督者」の定義が理解されていますか? 「管理監督者」と「それ以外の管理職」の区分がされ、処遇の差がつけられていますか? 中途入社の従業員の賃金中途入社従業員の賃金をどうするかのご相談は、とても多いのです。中小企業の場合中途採用が多いのですが、「相場」が決まっている新卒者と違い、なかなか賃金の基準が作りにくいのです。 皆さんの会社では、中途入社の従業員の賃金はどのように決めていますか? よくあるのは、「これまでどれくらい賃金をもらっていたか」を聞き、そこから自社の基準で計算した手当を引いた残額を基本給のめやすにする、そのパターンではないでしょうか。 その方は今までその金額で生活をしていらっしゃったわけですから、生活維持のため前職の賃金を参考にするのは当然だと思います。 ただ問題なのは、その金額が自社の基準より高かった場合。自社の賃金基準では入社してくれない場合、今どうしても雇っておきたい方であれば、本人が希望する金額で雇うしかありません。けれど、同じ仕事を何年もしている方より、自社でどの程度仕事ができるかさえもはっきりわからない新人に多くの賃金を支払うのはやはり矛盾が有ります。また、もしも先輩従業員にそれが知れたら納得してもらいようがありません。 そんなときにおすすめするのは、とりあえず総額では希望の金額にしておくけれども、当人の仕事ぶりによってあとで調整できるようにしておくことです。ただし、もちろんそのあたりについては会社と本人でよく話しあい、きちんと書面で了解をとっておくことが前提です。 |