評価「評価」の目的は、単に賃金や賞与の分配ではなく、従業員を「うちの会社で必要な人材になってもらうため」と考えています。「うちの会社で必要な人材」になってもらうための手順【1】 どんな人、何をやってくれた人を評価するのかを明らかにする●経営者として、やりたいことは何ですか、会社をどうしていきたいですか?●そしてそれにはどんな人材が必要ですか? ●その人材にどんな行動を取ってもらいたいのですか? 経営者が頭の中・心の中で漠然と考えていることを、自分で察して、行動して、成果を出してくれる社員!理想ですよね。そんな従業員がいたら、いくらでも払うのに・・・。 でもそれはやっぱり、あくまで理想。 従業員に、「オレの気持ちがわからないのか、社長になったつもりで考えてみろ」と言ってもこれはムリ。やはり社長さん自身が「うちの会社で必要な人材」とはどんな従業員か、どうすればそんな人材になれるのかをまず手順を追って考え、従業員に説明していかなくてははじまりません。そして、社長が誠実にこれをやっていくことが、みんなのヤル気を刺激するのです。 【2】 会社が何を評価するのかを従業員に説明できるようにするもしかしたら、今やっている評価の仕方が、実は一番会社にピッタリなのかもしれません。確かにそういう場合も多いのです。でも、もしたとえそうであったとしても、それが社長さんの頭の中にあるだけではダメ。従業員にはサッパリ伝わりませんから。「結局全部社長が好きに決めている」と思われているかもしれません。ただ、「社長が好きに決める」事が悪い、と言いたいわけではありません。社長さんの「好き」の基準は、「自分の思ったとおりに、つまり会社のためにやって欲しいことをやってくれているから」であることがほとんどなのですから。ただ、もう一度言いますが、その基準が大多数の従業員にはわからない、伝わっていない。「社長は自分のお気に入りの従業員がかわいいんだ」と、従業員から「社長のお気に入りはトク」という言葉で簡単に片付けられてしまっている状況をよく見聞きします。 ここは、そう、「お気に入り」の理由、つまり社長が・会社が何を評価するのかをはっきりさせ、その基準を従業員にきちんと伝えることで「お気に入り」という言葉に終わらせない、そこが大切です。 【3】 従業員に評価をしっかり伝える
【4】 「あなたはこうすればもっと良くなる」について従業員とやりとりする「こうやって決まるんだよ」「こうすれば増えるんだよ」と言われて「わかった!じゃあ私はこうすればいいんだ」と自分で理解して自分で動いてくれる従業員。いったい何割くらいいるでしょうか。もちろん会社によってかなりの開きがありますが、私の感覚では、中小企業では非常に少ないと思います。それこそ、2:6:2の法則の上位2割もいないでしょう。そして、まさにここからが本当の勝負。つまり、賃金や賞与の払い方を決めるのはそんなに大変なことではありませんが、制度をどう使うか、従業員の意識と行動をどうやって変えていくかが一番大切なところ。つまりここが、「賃金制度で難しいのは、制度を作ることではなくどう運用していくか」と言われるゆえんです。そう、この運用の部分は、やはり簡単にはいきません。なぜなら、ここにしっかり取り組もうとすると、社長を中心に管理職を巻き込んだ全社的な取組にならざるを得ないからです。 社長が、管理職が、従業員と真剣に向きあう。面接で、そしてもちろん日常的なかかわりのなかでも。自分は、あなたは、どこをどうしていくのか、そして必要な行動がとれているのかいないのか、のやり取りをすること。これは制度を作る以上に、いえこちらの方がずっとずっと手間がかかり、かつ大部分の管理職が苦手としている部分なのです。でも、この「従業員の意識と行動を変えるためのかかわり」、会社にとってなにより大切なこと、まさに今やらなくてはならないこと。そしてそのために会社はまず、管理職に部下との好ましいやり取りの仕方から教えることが必要で、評価制度のスタートは実はそこからなのです。 |